kawaguchi-shika’s blog

福岡県大牟田市にある歯科医師のブログです。歯を残す治療に力を入れて勉強しています。 歯科や健康に関する様々な情報を発信していきます。

口腔外科医?が行なった歯根端切除術の再外科治療

今回のブログは外科的歯内療法によって、歯を保存した症例を報告します。

 

初診時の患者さんの主訴は、

「歯茎が腫れて痛い。歯に触れるだけで激痛があった。」

レントゲン写真

 

8年前に口腔外科医?によって、根の手術を受けた既往があるという。

手術を受けたのに、問題が起きた原因は何か?

原因を解決できなければ、歯を残すことは難しくなる。

 

歯根端切除術Apicoectomyは、歯の中の細菌を減らし維持するために、3つのことをする必要がある。

①根切除

②逆根管形成

③逆根管充填

今回のケースでは、①根を切っただけで終わってしまっている・・・

①根切除だけで治癒する可能性は50%と言われている。

(多くの人たちは、根の先の病変に問題があると思っているらしい。。。)

 

②と③を行えば、歯の中の細菌数を減らせ、治癒に向かう可能性があることを伝え、患者さんは治療に同意されたため。Apicoectomyを行なった。

 

治療計画<CBCT>

根の切除は行わず、メタルコアまで3mm逆根管形成を行い、逆根管充填を行う。

 

OPE後

術前の計画通り、メタルコアまで3mm窩洞形成を行うことができた。

 

7か月後

術後の状態をレントゲンとCTで確認した。

少しずつではあるが骨の再生を認める。

患者さんに症状を聞くと、

『全く痛くありません。以前のことを忘れるくらい快適です。』

 

治癒に向かっているので、患者さんと共に安心しました。

骨の再生は道半ばであるが、注意深く経過観察をしていきます。

またOPEから一年後にご報告します。

 

このような歯を残す、最終手段のトレーニングを行い、患者さんに提供しています。

どうしてもご自身の歯を残したい方や、治療でうまくいかなかった他院からの紹介も受け入れております。

いつでも相談して下さい。

 

<外科的歯内療法Apicoectomy・Intentional Replantationや非外科的歯内療法RCTは自由診療で行っております>

マイクロサージャリーテスト

週末日曜日は博多で歯内療法アドバンスコース、マイクロサージャリー実習が行われました。

おそらく、九州で1番設備の整っている実習室☆

手術用顕微鏡が全9台準備されています‼️

驚いたのは、この実習室が歯科医師ではなく、獣医師がワンちゃんネコちゃんの歯の治療を学ぶための場所だという事❣️🐶😺

動物病院も専門化が進み、眼科や歯科、神経科、精神科まで

ペットも人間と同じ治療が出来る時代になっています!!

歯科医師と獣医師のダブルライセンスを持ち、ペットの歯科治療を専門とされている先生がいらっしゃいます。

r.goope.jp

手術用顕微鏡を応用して、前歯・小臼歯・大臼歯の歯根端切除術を行いました。

Tips

・レトロミラーは細いものを準備しておく

・resection後メチレンブルーで染め出すのを忘れない

・根尖部の湾曲が強い場合、根管の方向を見誤りやすい

 CBCTで歯冠との位置関係と方向をイメージする 

 根が長ければ短めにresectionする

 レトロミラーで方向をcheckする

・バーへのマーキング

・超音波チップが折れた時の対応

 銀のチップを使用する

 新品を使用する

 鋭い短針で取れる

・retro filingのチップはFEEDのものは曲がると溢れてくる。

 純正の細いチップでもOK(根が太い時、チップが入らない時)

・下顎大臼歯で根が長く細いケースは難しい、専門医(松浦先生)に紹介する。

もっと上手くなるにはどうしたら良いか考えます。

今はCBCTがあるので、分析をして何回も頭の中でイメージすること。

術前の準備が1番重要

 

多くの歯を残せるように、そして患者さん日常生活を豊かに出来るか

もっと学ぶことがたくさんあると感じた一日でした。

根管治療トレーニング<抜去歯牙のCBCT撮影方法>

明日は歯内療法アドバンスコースの試験があるので、診療後一人で実習を行なっておりました。

抜去歯牙での根管治療を前歯、小臼歯、大臼歯を行いました。

 

・チャンバーオープンして、根管口を明示した


・根管形成を行なった→

 

・根管の合流をある方法で再現した

 

・根管充填後

 

・模型に抜去歯牙を植え、CBCT撮影

 

・CBCTにて外科的歯内療法のシミュレーションを行なった

こういった歯を残すための治療(非外科的歯内療法・外科的歯内療法)のトレーニングを行なっております。

明日はマイクロサージェリー試験です。合格できるようにがんばります💪

 

精密根管治療(自由診療)について

歯科医師になり10年、歯科治療のある問題点に気づいていた

実は歯科治療の多くは『やり直しの治療』という事実を…

「一度治療している場所は、トラブルが起こりやすい」

なぜか、被せ物が入っている歯のみ歯周病がある。根の治療をくり返している。など

 

特に、

根管治療(根の治療をした歯)は高い確率で問題が起きる

具体的には、痛みが出たり、治療の繰り返しが起こる、なかには他院で1年以上薬の交換を続けていた方もおられた。

東京医科歯科大学むし歯外来で行われた研究によれば、

根管治療が行われている歯のレントゲンを撮影し、どのくらいの確率で問題が起きているか統計を取っている。

根尖病変(根の先の骨が吸収している病的状態)の確率がどれくらいだろうか?

 

結果は、

根尖病変がある確率50%~70%=

根管治療を受けた歯に病気がある可能性が50%~70%

大きな声では言えないが、日本の根管治療の成功率は30%~50%程度と残念な結果になってしまっている。。。

 

しかし、これまで歯内療法のセミナーや論文で学んだことと日本の現状に違和感を感じている

米国のUIf Sjbgrenらの成功率を調べた研究(1990)によれば、初回根管治療(抜髄)の成功率は96%と結果が出ている。

日本の成功率30~50%VS米国の成功率96%

日本の歯科治療は海外に遅れをとっていると言っても過言ではない。

 

なぜ?と思われるかもしれないが、1つはスタンダードな治療を行える環境かどうかが鍵となりそうだ

 

当院では再治療を減らすために、世界スタンダードの治療を提案することが可能になりました。

 

当院の精密根管治療

①検査をした後、しっかりと説明を行います(現状、治療方法、成功率、治療費、リスク)

②治療に同意され、希望される方のみ治療を行います

③基本的に治療は1回で終了します

④すべて新品の器具、保険適応外の材料をを使用します

⑤ラバーダム防湿、手術用顕微鏡を使用します

⑥治療は顕微鏡の録画システムで記録し、治療後動画で説明します

(希望があれば治療動画をお渡しすることが可能です)

⑦病気の治癒傾向が確認できれば、修復治療へ移行します

 

米国歯内療法専門医である、松浦顕先生より学んだ根拠のあることを実践します。

fukuoka-endodontics.com

自分の歯をできるだけ残したい方へ、いつでも相談をお待ちしております。

「歯ぐきから膿がでている、なんとか歯を残したい」~大きな病変がある歯を外科治療で保存できるか~

患者さんの主訴は、

「歯ぐきから膿が出ている、噛むと違和感がある」

根管治療を何度か繰り返した既往がある

 

サイナストラクト(膿の出口)が出来ている

造影性のある材料を挿入しレントゲンを撮影した

材料の先は銀歯の根を示している。膿の原因は銀歯にありそうだ。

 

CBCTを撮影した

銀歯の根の先には大きな病変(歯の中の細菌が外に出ることで免疫反応が起こり、歯の周りの骨が吸収した状態)があり、隣の歯を巻き込む大きさになっている

解決方法は、病巣である歯の中の細菌を減らし、それを持続させること

 

外科治療(歯根端切除術)を行うための分析を行った

根尖から3mmの位置の断面を計測した

手術の難易度はそれほど高くないと判断し、歯根端切除術を行った(R5.3月)

9か月後にリコールを行った(R5、12月)


CBCT 初診時VS9カ月リコール

骨の再生を認める

口腔内ではいかなる症状も認められなかった

治癒の方向へ進むことが出来たのは、歯の中の細菌を外科治療で閾値以下に減らし、それを維持することができたと考える

 

これだけ早い時期に骨の回復をされていることに驚いたと同時に、歯内療法の力を患者さんと共感した

 

外科的歯内療法は歯を残す最後の一手になるかもしれない

 

<非外科的歯内療法&外科的歯内療法は自由診療で行っております>

マルチファイバーコア~ブリッジ・義歯を回避する~

今日の治療は支台築造(しだいちくぞう)『歯の補強をするために行う土台』のケースです。

 

「歯が折れた、何とかしてほしい」

と来院された患者さん。被せ物と歯の土台が外れ、ご自身の歯も一部欠けています

歯肉より上の歯質がほとんど残っていない。。。

非常に厳しい状態

この様な状態だと一般的には抜歯になりますが、患者さんと相談し

出来れば残すチャレンジをしてみたいとのこと、

 

歯の周りから少しずつ樹脂で補強していきます

中心と外側ににファイバーを配置します

(ファイバーの繊維を3本、筒状のものを1本使用)

樹脂を固めて補強し、形を整えた段階です

このあと仮歯を製作し、経過をみていきます

 

1回の治療で補強から仮歯まで進めることができました。

経過を診て、最終的な被せ物を製作していきます。

 

インプラント・ブリッジ・義歯も治療法としてありますが、

当院の方針は「なるべく自分の歯を残して、インプラント・ブリッジ・義歯を使う人生の期間は短い方が良い」

と考えております。

 

今回のケースも歯が弱っておりますが、患者さんと協力して可能な限り残していきたいと考えます。

 

<マルチファイバーや精度の高い治療は自由診療になります>

歯を残すためのマイクロサージャリ―トレーニング💪

先週日曜日はまつうら歯科医院歯内療法専門室で歯内療法のアドバンスドコースに参加しました。

 

fukuoka-endodontics.com

 

根管治療した歯を模型に埋めて、歯根端切除術の実習を行いました。

 

ひとり1台手術用顕微鏡の準備があり、

骨削除

根切除

逆根管窩洞形成

逆根管充填

レントゲン撮影

 

各ステップを講師に確認してもらい、アドバイスを受けました。

 

 

根の幅をあらかじめ計測しておき、外科ペンでバーにマーキングをしておくこと

イスムスの処理が難しく、術前にCTで切断面のイスムスの位置をイメージしておくこと

顕微鏡下での直視とレトロミラーでのポジショニングの確認

 

大変参考になるTipsを頂きました。

 

 

今月もOPEがあるので、しっかり準備をして臨みます。

学んだことを活かし、安全で歯を残せる治療を提供していきます。

 

<歯根端切除術(マイクロサージャリー)は自費治療となります>