kawaguchi-shika’s blog

福岡県大牟田市にある歯科医師のブログです。歯を残す治療に力を入れて勉強しています。 歯科や健康に関する様々な情報を発信していきます。

ホワイトニング実習✨🦷

本日は午前の診察を早めに切り上げて、「オフィスホワイトニングBOOST」の実習をしました👄

 

「オフィスホワイトニング」は歯科医院で、1回で行うホワイトニングです。

国家資格をもった歯科衛生士、歯科医師が行うことができます。

 

ホワイトニング希望のスタッフが患者役となり、歯科衛生士とトレーニングを行いました😄

 

知覚過敏予防の「ウルトライーズ」の使い方

歯肉保護ダムの確認

薬液を混和し、実際の扱い方を指導

知覚過敏が出たときの対応

 

安全なホワイトニングを行うため、トレーニングや知識の共有を行っています🦷

 

ホワイトニングの結果は。。。

 

『歯が白くなりとても嬉しいです💖』

 

とホワイトニングを受けたスタッフから感想を頂きました。

 

歯も凍みることなく無事ホワイトニングできたので良かったです✨

ホワイトニングは患者さんがとても満足され、人気の高い治療メニューです。

患者さんが喜ばれると私たちもとても嬉しいです!

健康的な白い歯になりたい方はいつでもご相談ください。

 

 

「治療後も違和感が続いている」~穿通できなかったMB2の攻略~

患者さんの主訴は、

「噛むととても痛い」、「頬が腫れている」

 

レントゲン写真を撮影

左上の第一大臼歯に根の先に黒い影が。。

歯髄診断はPulp necrosis「歯髄壊死」・・・歯の神経が死んで感染が起きている状態

根尖歯周組織診断はAcute apical abscess「急性膿瘍」・・・根尖の骨が吸収し、炎症が広がり、組織に膿が溜まっている状態

 

<推察として、以前深いむし歯があり、徐々に神経の生活力がなくなり、歯の中で細菌が増えることによって起こってしまったと考える>

 

【推奨される治療】

細菌の数を減少させ、維持することで歯を保存する歯内療法

消炎後、

根管治療を1回法で行った

根管充填後

4根管拡大・洗浄を行ったが、MB2のみ穿通できなかった

<MB2・・上顎大臼歯近心頬側第2根管:1つの根の中に2つの神経管があり、細いため発見が難しい根管 発生確率60% Cleghorn2006>

 

1年後

患者さん曰く、「以前ほどの痛みはないが、噛んだ時の違和感が続いている」
レントゲンを撮影すると、治療前と比較して根の先の骨は再生してきているが、MB根周りの骨の再生が不完全のため、歯科用CTで確認することにした

 

CBC

MB2は独立しており、そこに病変(黒い影)が認められる

 

【推奨される治療】

外科的歯内療法 歯根端切除術

外科的に歯の中の感染を除去し、封鎖をして細菌の数を減少させる方法

 

外科治療12か月後

 

術前VS術後

 

初診時VS現在

「違和感もなく、治療したことを忘れるくらい噛めています」

いかなる症状もなく、術前に存在した病変も消失した

 

非外科的歯内療法(根管治療)と外科的歯内療法(歯根端切除術)を組み合わせることで、歯を保存することができた症例です。

 

患者さんも治療の内容をよく理解し協力してくれ、治癒までの時間を待って頂きました。

下顎の歯にも根尖病変があるため、そちらの歯の治療も報告したいと思います。

 

 

<非外科的歯内療法/外科的歯内療法は一部保険適応外になります>

 

 

 

出来るだけ削らない治療~コンポジットレジン修復~

本日のブログは日常的に行っている虫歯の治療です。

 

とある患者さんのう蝕治療

隣接面う蝕(歯と歯の間から進行するむし歯)の特徴は咬合面(噛み合う面)から見えないため、自覚なく進行することが多いです。

この患者さんもレントゲン写真を撮影し、齲窩を発見しました。

咬合面を少し削合すると、穴が開いていました。

歯が溶けて柔らかくなっている部分を丁寧に取り除き、コンボジットレジン(歯と接着する白い樹脂の詰め物)で修復を行いました。



コンポジットレジン修復のメリットは、

①歯質を削る量が少ない

②1回で治療が終わる

③歯と同じ色を選べる

 

デメリットは

①噛む力が強い方に使用すると一部欠けてしまうことがある

②口を開けている時間が長い

③術者によって治療の精度に差がある

といったことが挙げられます。

 

以前はこのような治療はあまり行われてなく、むし歯になったら金属で修復することが多く行われていたようです。(メタルインレー修復)

 

現在では歯と接着する技術が上がり、強度も向上したためこのような治療を積極的に行っています。

 

むし歯が大きく進行する前に発見し、治療介入をすることができたので良かったです。

しかし、なぜむし歯が出来てしまったのかを考え、これからむし歯にならないための行動をとることが重要です。

当院ではむし歯になりにくい人になる改善プログラムも行っています。

最も大切な歯🦷右下第一大臼歯を外科的歯内療法で保存できるか!?

今回の治療は『第一大臼歯』です。

 

第一大臼歯は手前から数えて6番目の歯、乳歯の奥に6歳ごろ生え始めてきます。

永久歯の中で一番早く生えるので、お口の中で一番使っている期間が長い歯とも言えます。

しかし、長くお口の中で機能しているため、う蝕や歯周病などのトラブルが起こりやすい歯でもあります⚠

第一大臼歯は成人の歯32本の中で一番大きく、噛むことに最も関与してい歯のため、自分の第一大臼歯を失ってしまうと、噛む力が低下し、周りの歯の負担も増えてしまいます。

私はこの第一大臼歯こそ、噛むために1番大切な歯だと考えます。

 

第一大臼歯を保存するために治療を行ったケースを紹介します。

主訴は、第一大臼歯の腫れ、噛むと痛い

以前ラバーダムを使用し根管治療をしましたが、症状の再発がありました。

レントゲン撮影

根の先に黒い影(根尖病変)があります

CBCT撮影

2つの根のうち両方に病変が認められます。

治療方法

根管治療が奏効しなかったため、

外科的歯内療法<歯根端切除術>を2根同時に行いました。

根の先端を3mm切除し、清掃を行い、封鎖する薬を置きます。

難しい部位のため手術に時間はかかりましたが、患者さんも一緒に頑張ってくれました。

 

6ケ月後

患者さん曰く、「まったく痛くないです。治療したことを忘れるくらい普通に噛めています。」

いかなる症状もなく機能的で、臨床検査でもすべて正常に戻っていました!

レントゲン写真で、根の先に再び骨が出来つつあるのが確認でき安心しました。

歯ぐきの腫れも落ち着いています。

 

1番大切な歯を残せたことが、患者さんと私の嬉しい経験となりました。

しかし、根の先の溶けた骨が元に戻るのには3年かかると言われています。

この先も気を抜かず、この歯を残せるようにしていきます。

 

この歯がどのような経過を辿っていくか、またご紹介したいと思います。

歯内療法(非外科治療・外科治療)は一部保険適応外の治療となっております。

 

外科のスペシャリストに学ぶインプラント

先週の日曜日は博多でインプラントの研修会を受講しました。

 

当院で使用しているインプラントメーカー『ストローマン』のベーシックコースでした。

straumannpartners.jp

当院でストローマン製インプラントを使用している理由は

①歴史が長く、信頼がある

②骨となじみやすく治癒期間を短縮できる

③世界で1番使用されているインプラントで多くの研究が行われている

 

私の家族に使用するインプラントを考えたときに、世界で1番信頼と安心のある「ストローマン製」インプラントシステムを導入しました。

 

研修会では1日を通して、講義と実習がありたくさんの学びがありました。

実習では模型にフリーハンドでインプラントを埋入しましたが、左側が難しく何度か修正をしなければなりませんでした💦

Модуль для DWOS coDiagnostiX

当院ではストローマンガイドを必ず使用し、インプラント位置をプランニングしています。

より安全に正確にインプラント埋入手術を行うことができます。

 

研修会で得た知識を整理し、患者さんが安心できるインプラント治療を目指します。

 

「最近の麻酔は注射じゃないのですね😊」「いえ、注射です💉」

歯の治療に必要な『麻酔』💉

多くの方が苦手だと思います😥(私自身もそうです😰)

 

ですが、痛みに配慮した『麻酔』を実践すると多くの方から、「痛くなかった」「大丈夫だった」と言葉を頂きます。

麻酔の痛みが少なくなるように、気を付けていることをお話しします。

 

①表面麻酔を塗る

 

麻酔をする部位に、表面麻酔の軟膏を塗り、刺入時の痛みを緩和します。

(時間をおくと表面1~2mmに麻酔の効果があります)

 

②麻酔液を体温に近い温度で保温

麻酔液を37℃で保温したものを使用しています。

麻酔液を冷たいまま使用すると、痛みを感じやすくなると言われています。

体温に近い温度で温めることで、注入時の痛みの軽減になります。

 

③拡大視野での麻酔

上の画像は当院で使用している手術用顕微鏡とサージカルルーペ(5倍)です。

当院では拡大視野での治療を行っていますが、麻酔をするときも使用します。

刺入点を拡大して見て、表面麻酔が効いている1mmだけに刺入するようにしています。

 

④ゆっくり麻酔する

早いスピードで麻酔をすると麻酔液の圧で痛く感じます。

最初は1秒1滴のペースで、ゆっくり麻酔をすることで不快感が少なくなります。

また、麻酔が効いているところに麻酔を追加して徐々に範囲を広げていくように意識しています。

 

患者さんに対して痛みが少なく、リラックスして治療出来る麻酔に努めていきます。

 

そして、先日歯内療法アドバンスドコースで麻酔のトレーニングがありました。

歯科麻酔の目的は治療中痛みを感じさせないようにすることです。

しかし、麻酔の効きにくい部位やHot teeth(痛みがある歯)へ効果のある麻酔を行うことは簡単ではありません。

そのため、神経ブロックやHot teethへの対応を学んできました。

相互に実習があり、下顎孔伝達麻酔と頬神経ブロックを左右行い、下の歯すべてと頬と舌に麻酔が効いている状態になりました。

そのためお昼のお弁当がとても食べにくかったです😰

そして、麻酔が切れるまで3時間半かかりました。自分も体験することで患者さんの気持ちになることが出来ました。

 

「他院で2年以上治療している、顎が腫れて痛い」~再根管治療で歯を保存できるのか?Re-RCT1年6ケ月リコール

患者さんの主訴は

「歯の根が腫れている、とても痛い」

「他の歯科医院で2年間治療しているが、治療が終わらない」

 

 

その時の状況は上あごの裏側(口蓋)が大きく腫れあがって膿が溜まっていました。。。

レントゲン(デンタルx-ray)を撮影すると根の先の骨は2㎝以上吸収されています。

痛みと腫れをとるために切開排膿すると、中から大量の膿汁が出てきました。。。

 

提案した治療は根管治療途中のため、

①再根管治療(非外科的歯内療法)

それでも症状が改善しなければ、

②歯根端切除術(外科的歯内療法)

を行います。と、、、

 

<治療当日>

ラバーダム防湿(口腔内の細菌が歯の中に入らないようにするゴムのシート)

kawaguchi-shika.hatenablog.com

をした上で、再根管治療を行いました。

当日、根管(歯の中の神経のあった場所)を消毒することができたため、当日根管充填(歯の中に薬を詰めること)まで行いました。

その後、症状が消失したために、仮歯を入れ機能的に問題ないか確認して、最終的な被せ物を装着しました。



 

      初診時  VS 1年6ケ月経過後


根の先の骨吸収(黒い影)が減って骨(白い所)が増えてきているのがわかります。

治療で歯の中の細菌を減らすことができたので、根の先の骨が再生してきています。

 

1年6か月後、いかなる臨床症状もなく快適に機能していました。

 

患者さんも歯を残すことができて喜ばれていました。

そして、外科的治療を行わなくて良くてホッとしました。

しかし、完全に骨が出来上がるのには3年かかると言われています。

まだまだ経過観察が必要ですが、これからも大切な歯を残していきたいと想っています。

 

歯内療法(非外科・外科)は多くの歯を残すことができます。

 

当院での歯内療法(根の治療)は米国歯内療法専門医の松浦先生に教えて頂いたことを実践しています。

fukuoka-endodontics.com

私が歯内療法が好きな理由は、この治療で歯を残せる人がたくさんいるということ。

そして、歯の周りの骨が再生できるという、真の再生療法を診れるということ。

 

もし歯の根の問題で悩んでいたら、一度当院にご相談ください。

当院では非外科的歯内療法(精密根管治療)と外科的歯内療法(マイクロサージャリー)をご提案できます。

※一部保険適応外となっております(2023年現在)