今回の治療は『第一大臼歯』です。
第一大臼歯は手前から数えて6番目の歯、乳歯の奥に6歳ごろ生え始めてきます。
永久歯の中で一番早く生えるので、お口の中で一番使っている期間が長い歯とも言えます。
しかし、長くお口の中で機能しているため、う蝕や歯周病などのトラブルが起こりやすい歯でもあります⚠
第一大臼歯は成人の歯32本の中で一番大きく、噛むことに最も関与してい歯のため、自分の第一大臼歯を失ってしまうと、噛む力が低下し、周りの歯の負担も増えてしまいます。
私はこの第一大臼歯こそ、噛むために1番大切な歯だと考えます。
第一大臼歯を保存するために治療を行ったケースを紹介します。
主訴は、第一大臼歯の腫れ、噛むと痛い
以前ラバーダムを使用し根管治療をしましたが、症状の再発がありました。
レントゲン撮影
根の先に黒い影(根尖病変)があります
CBCT撮影
2つの根のうち両方に病変が認められます。
治療方法
根管治療が奏効しなかったため、
外科的歯内療法<歯根端切除術>を2根同時に行いました。
根の先端を3mm切除し、清掃を行い、封鎖する薬を置きます。
難しい部位のため手術に時間はかかりましたが、患者さんも一緒に頑張ってくれました。
6ケ月後
患者さん曰く、「まったく痛くないです。治療したことを忘れるくらい普通に噛めています。」
いかなる症状もなく機能的で、臨床検査でもすべて正常に戻っていました!
レントゲン写真で、根の先に再び骨が出来つつあるのが確認でき安心しました。
歯ぐきの腫れも落ち着いています。
1番大切な歯を残せたことが、患者さんと私の嬉しい経験となりました。
しかし、根の先の溶けた骨が元に戻るのには3年かかると言われています。
この先も気を抜かず、この歯を残せるようにしていきます。
この歯がどのような経過を辿っていくか、またご紹介したいと思います。
<歯内療法(非外科治療・外科治療)は一部保険適応外の治療となっております。>